武男は妻・明美が上司の部長・鮫島と不倫を続けているのを知りながら、素知らぬふりをして毎日を送っていた。娘・美由紀も武男の実の娘ではなかったが、彼は美由紀を大切に育ててきた。そんな武男をあざ笑いながら、明美は鮫島を家に呼び情事を楽しんだ。 明美との情事の後、職場に戻った鮫島はいつものように武男を使い走りにする。その様子を見ていた同僚の裕子は、自分が行くと申し出る。入社の際に武男が自分を強く勧めてくれたことに、裕子は恩義を感じていた。 ぐちゃぐちゃになったケーキの箱と鞄を持ち、顔中に返り血を浴びた武男が、フラフラと赤信号の横断歩道を渡ろうとすると、そこに車が走り込んできた。 病室で目覚めた武男は、看護師の顔を見て仰天する。看護師の弘美は裕子に瓜二つだった。弘美は武男に優しい笑みを浮かべて出ていった。その後、弘美に連れられて院内を歩いていると、何故かほかに患者が一人もいなかった。 そんな矢先、病院関係者たちが仕事の合間にコーラスの練習をしている声が聞こえてきた。音楽が大好きな武男に、治療に役立つかもしれないと弘美が導く。 指揮をとる医師・上田の顔に見覚えがあった。美由紀の部屋にあった交際相手・玉城の写真と瓜二つだった。さらに武男は、鮫島にそっくりな清掃員・並木、明美にそっくりな並木の妻・玲子と出会い……
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